ミルクのやさしさに包まれて

我が家にレイちゃんがやってきたのは、今からちょうど3年前。
まだ小さな体で、ちょこちょこと歩く姿はまさにぬいぐるみのようでした。
そのとき、家にはすでに先住猫のミルクがいました。
キジトラの短毛、当時6歳。落ち着きがあり、でもどこかツンデレな一面もある、我が家の“女王さま”です。
猫同士の相性というのは本当に難しくて、迎え入れる側としてはいつも少しドキドキします。
「仲良くできるだろうか」
「ミルクは受け入れてくれるかな」
そんな不安もありつつ、私たちはレイを迎え入れる決断をしました。
そして、その心配は、意外なほどすぐに解けました。
Instagramのリールにも映っているあの瞬間。
ミルクが、まだ頼りなげに座っているレイちゃんのそばへ、そっと顔を近づけて──
まるで、「ようこそ。ここはもう、あなたの家だよ」
そんなふうに語りかけているように見えたのです。
ミルクは、決してべたべたと甘えるタイプの猫ではありません。
人に対しても、他の猫に対しても、自分のペースを大事にするタイプ。
でも、そんな彼女が見せてくれた“やさしいまなざし”に、私たちのほうが驚かされました。
レイも、最初こそ緊張していたものの、ミルクのそばにいると安心するようで、いつの間にか彼女のあとをついて歩くように。
一緒に毛づくろいをしたり、同じクッションで寝たりする姿が見られるようになるまで、そう時間はかかりませんでした。
ミルクにとっても、レイという存在は“自分の時間”を少しずつ変えてくれる、そんなきっかけになったのかもしれません。
それまで一人で静かに過ごす時間が多かったミルクですが、レイが来てからは、誰かと触れ合う時間が自然と増えました。
甘えん坊というほどではないけれど、“一緒にいる心地よさ”を、レイが少しずつ引き出してくれたのだと思います。
猫同士の関係には、上下関係だけではない、もっとやわらかな“空気のようなつながり”があるように感じます。
ミルクとレイは、まさにそんな関係でした。
レイが大人になった今も、その関係は続いています。
レイがミルクにくっついて寝ている姿、ミルクがレイに場所を譲ってあげる姿。
どちらが上でも下でもなく、ただ一緒にいることを自然に受け入れている──そんな関係です。
あのときのリールを見返すたびに、私はいつも少し胸があつくなります。
猫たちは、ちゃんと“愛”を知っている。
ちゃんと“家族になること”を理解している。
言葉ではない、しぐさやまなざし、距離感で伝え合う彼女たちのやりとりは、いつも私たちに大切なことを教えてくれます。
「やさしさは、静かに伝えるもの」
「家族になるって、寄り添うこと」
そんなことを、ミルクとレイの出会いから教えてもらいました。
レイちゃん、ようこそ、うちの子になってくれてありがとう。
そして、ミルク。あなたのやさしさに、何度も心が救われました。
これからも、2匹の“ちょうどいい関係”が、ずっと続いていきますように。